建築は美しく、より創造的であるべき
建築設計に取りかかるとき、僕はあらゆる可能性を探りながら「より美しいものをつくろう」「より魅力的なものをつくろう」という姿勢を貫いています。「規格が存在しない」、それが建築家のつくる建築。木造はもちろん、鉄骨造、鉄筋コンクリート造、または各構造を組み合わせた混構造も可能です。
つくりあげる建築空間のイメージは、コンセプトによって大きく左右されます。既成概念にとらわれず、自由に、あらゆる角度から探求するのが僕の創作スタイルです。採用する素材や色彩、照明器具や家具によっても大きく変わります。
僕は、プランでも模型でも、依頼主と僕自身がお互いに納得のいくまで話し合いを繰り返してつくり上げることを信条としています。大事なのは「何がベストなのか?」をプロとして判断し、提案することだと考えます。
デザインだけではなく性能もみる
建築家のつくる家はデザイン優先で住みにくいのでは?
デザインは良くても、雨漏りする家があると聞くので不安……
こんな話をよく聞きます。建築家にもいろいろなタイプがいることは事実。デザインのみを重視する建築家も、理論だけを優先する建築家も、デザインも提案もしない建築家も、欠陥建築をつくる建築家もいます。家が快適で住みやすいのは当然のことです。魅力的で美しいこと(=デザイン性)も、耐久性や構造的な安全性、メンテナンスも考慮し、夏も冬も快適に過ごせる建築であること(=性能)も重視することが大切。「デザイン」と「性能」のバランスがあってこそ、「快適な家」ができるのです。
一口に「性能」といってもいろいろなレベルがありますし、こだわればコストもかかります。デザインとの両立においても、ときには決断しなければいけないことがあります。そこを見極めるのも、建築家の大切な役割です。
良い建築空間は、生き生きとした笑顔であふれるもの
僕が目指しているのは、“風”をキーワードとした「心と感性が響き合う心地良い空間」です。僕の考える「風」とは、単なる通風のみを指すものではありません。「心地良さ」「気持ち良さ」まですべて含めた「風」――建築空間に流れる「気配」「気」「人の気持ち」の流れのことです。
「風」を感じる別荘建築とは
常に笑顔があふれる空間のこと
僕は、建物はもっと有機的なものだと考えています。住む人はもちろん、訪れたすべての人の笑顔であふれる空間にする。――そんな、空気感や雰囲気を大切に考えた空間づくりこそが、僕が目指すものなのです。家族はもちろん、その空間を訪れたすべての人にワクワク感が伝わるような魅力ある空間、感性を刺激するような建築空間(いわゆる旅感覚の空間)をつくり出します。
建築は建築主と共につくりあげる「作品」
残念なことに、「家を買う」「別荘を購入する」という言葉をよく耳にします。家や別荘は、買うものではありません。「つくる」ものです。家を建て、ローンを組んで、それだけで満足されてしまう人も多くいます。しかし、大事なのは家を建てることではなく、「その後どう生活するか」ではないでしょうか? 僕は、建築文化や新しい生活スタイルを啓蒙していくのも、建築家の重要な役割だと考えています。
建築にはユーモアとあたたかみが必要
建築とは、予算や法規、構造、そして膨大な建築主の要望に応えたうえで、美しさやデザインを融合させる「総合的な創作活動」です。さらに別荘は、自然環境との共生的な美しさ、そして住宅にはないオリジナリティ、ステータスも求められます。
建築家としてのこだわりを持ち、建築主と心を通い合わせて、この世界に1つしかない「作品」をつくりあげることは実にやりがいがある仕事です。建築主によって要望やこだわりたい部分が異なるので、一軒一軒が真剣勝負の連続。僕は、そこに生きがいを感じています。
米村和夫ミニコラム「お風呂について考える」
別荘と一般住宅との違いは数え切れないほどありますが、そのひとつとして挙げられるのが「お風呂」です。別荘によっては温泉が引かれている場合もあります。「自然の中で景色を楽しみながら入浴したい」「大きな窓を設け、そのまま外に出てみたい」「露天風呂も欲しい」など、依頼主のお風呂に対する夢は果てしなくふくらみます。
温泉を自宅に引く……とても魅力的なことです。しかし、注意すべきこともあります。温泉の利用には、権利金・使用料などがかかることがあります。また、湯量の制限があるエリアもあり、水道水でかなり薄められている「自称:温泉」もあります。工事費も意外にかかるものであり、高級な浴槽を設置しても温泉成分によって1日でこげ茶色になってしまったという例もあります。
お風呂での楽しいひとときを考える際、まずは一度、別荘地の湯質や条件などについても調べてみてください。